2006年01月01日

上福岡市の水の話(シリーズ第1回)


 
~上福岡の水の話(シリーズ第1回)~

岩木英二と上福岡市民連合NO.74に掲載
1994.3.15
水びたしになった荒川河川敷のゴルフ場
この水が大久保浄水場で取水され
上福岡の水になる。

 
 水が「まずい」といわれて久しい。
いまは公共水道に期待する人は少なく、ミネラル・ウォーターや家庭用浄水器を利用する人が増えているようだ。そこには、発ガン性物質トリハロメタン(注)への自衛の意味もあるのだろう。このまま水はまずく、汚れていく一方なのだろうか。このシリーズの連載をつうじ、私達が常日頃飲み利用する上福岡の「水」に焦点をあて、その問題点や、取り得る対策も含め、みなさんと一緒に考える機会にしたい。
 

改善されない河川の汚染

 
 小選挙区の導入など問題の多かった細川政権の臨時国会で、もうひとつ注目すべき問題があった。二月六日付け朝日の「国民不在の役所の水争い」と題した解説記事によると、公共水道のもとになる河川の汚染を解決するとして厚生省が一年がかりで準備した「水道原水水質保全法案」が、なんと公共水道を所管する環境庁の横やりで、結局フロシキを広げただけで終ってしまったとある。
 当初の厚生省案では、取水地点の上流を規制区域にし、工場排水の規制、農薬の制限、合併処理浄化層の設置義務化など、旧来の姿勢からみれば「壮大」ともいえる汚染対策を盛り込んでいた。ところが「規制緩和の風潮にそぐわない」などの各省庁の意見が寄せられ、当初案は大きく後退、規制内容は骨抜きになって、国会での継続審議に回されるはめになったという。
 役所の「水争い」の是非についてはここではふれない。しかし、確実にいえることは、今もまた進行している河川の汚染に、政府は何らかの歯止めを加えることもできなかったということであり、その結果、水道の水はますます「まずく」なる一方だということなのである。
 

上福岡の水の経路をみてみよう

 
 じつは、このことは私達の飲み水に大きく関連している。上福岡の水は市内の五ヶ所の井戸から供給される地下水と、荒川大久保浄水場(治水橋下流)から供給される「県水」のブレンドである。通常地下水三、県水七の割合で上福岡浄水場の配水池にいったん集められ、塩素処理の後、給水塔からの自然流下で各家庭に供給されている。
 例外は上野台団地で、ここだけは百%地下水を亜硝酸酸性窒素の除去を施して供している。このため上野台の水ははっきりいって「うまい」のである。つまり上福岡の地下水は「うまい」というわけだ。
 ところが、大久保浄水場からの「県水」は「まずい」といわれている。飲んだ人の話では県水だけの百%の水というのは「飲めた代物ではない」そうだ。上福岡市の場合、地下水とブレンドしているのでなんとか水準を保っているというのが実情なのである。このことは、治水橋辺りの荒川をみればよくわかる。汚染の進行するこの川の水がとてもうまそうだとは思えない。

  
拡張されるか、上福岡浄水場
 
県水の増加=そして水はまずくなる
 ところで、上福岡市水道審議会が昨年十二月に答申した「第三期水道事業拡張事業計画(案)」によると、H18年度を目標年次に給水量の大幅な増加(一日平均最大量で30%強)を計画していることが明らかになった。この計画には地下水の滋養育成は含まれておらず、水道水の増加は県水の増加で賄う以外ないのであるから、計画が実現されれば地下水に対する県水のブレンド率が高まることになる。と、どうなるか。
 「うまい」地下水に対して「まずい」県水の割合が増え、その結果、ますます水は「まずく」なることが予測されるのである。
 「H18年度ではまだ先の話」などと思うなかれ、現在の施設は夏期の需要に耐えるのが手一杯。厚生省の認可が取れれば、H七年度にも配水池や、給水塔の建て替えが始まろうとしているのである。いま、水の問題を考えるに重要な時期を迎えている。(第1回 終了)
 
 
(注)トリハロメタンってなんだ
河川水を水源とする水道浄水場では通常浄水操作の前後に塩素を注入する。このとき塩素と水道水中の汚れが反応してできる厄介な物質がトリハロメタン。発ガン性は1974年アメリカで発表された。水道水中のクロロホルムほか三種類のトリハロメタン化合物を総称して言う。家庭用浄水器には取り除く性能を持つものもあるが、持続性は疑問視されている。
 
栃木県葛生町の「水騒動」
2月18日、葛生町の水源地である産業廃棄物処分場に廃棄物を運びいれる
ダンプカーを阻止する住民。住民の要求は「飲み水を守れ」というもの。